裕福と貧困とアイデンティティとプライドと・・・(最終回)

【フィリピン人の若者に与えられたチャンスとチョイス】
このコロナ渦でのフィリピンの失業率をご存知でしょうか?
フィリピン統計庁は、2020年7月の失業率が10.0%、失業者数は約460万人と発表しました。
失業率は、前年同月の5.4%に比べると2倍近くに増えた事になります。
しかしこの数字は過去最高を記録した同年4月の17.7%からは大幅に改善している数字といえます。
日本と比べてみましょう。
総務省統計局による12月1日発表の労働力調査によると、同年7月の失業率は2.9%、失業者数は約200万人です。
全体の人口で比べてみるとフィリピンは約1億人、日本約1.3億人で、労働力人口が違うとはいえ、この失業率の大きさは明確です。
その多くのフィリピン人失業者はどのような生活を送るのでしょうか。
もちろん収入が0であれば生活は成り立ちません。
なので、無職の人は職に就いている家族(親戚)に助けを求めます。
フィリピン・セブの最低賃金は404ペソ(約880円)。
多くの貧困層の人々はこの金額で仕事をしています。
そしてそのバジェットで身内を養います。
世論調査機関のソーシャル・ウエザー・ステーション(SWS)が発表した2020年11月の貧困に関する意識調査結果によると、自分自身を「貧しい」もしくは「境界線上の貧しさ」を感じている人はフィリピン全体人口の83%に及ぶとされています。
このコロナは全世界に大きな影響を及ぼしましたが、フィリピンももちろん例外ではないんですね。
そんな中、ここフィリピンの特徴的な文化は、【分け与える文化】という事。
裕福が貧困に分け与えるのはよくある事。
ボランティアや募金などのチャリティー活動はもちろん、
路上にいる物乞いに金銭を差し出す人の多くはフィリピン人なんですよ。
一方、私を含め外国人は物乞いやストリートチルドレンに金銭を渡さない人が多いです。
※私は子供には食べ物を渡すようにしています。ですが、この話はまた別で。。
これは、富裕層の施しというわけではありません。
貧困層が貧困層に。そして、貧困層が最貧困層に、
すこしのお金や少しの食べ物を、【分け与える】のも一般的な文化背景の一つだと思います。
自分の食べるものが十分でなくとも、病人や仕事のできないけが人を助けるんです。
ここが、やっぱりフィリピンだな、と思います。
そうすると・・・
どのような事がおこるのか・・・
経済状況に恵まれない若く優秀な人材が【家族の経済状況を助けるために】すぐ稼げる、もしくは、簡単に入社できる組織に入って、仕事をします。
自分の道を選択できるチャンスが限られてしまうんです。
家族を助けるために・・・。
私が良く話すエピソードがあります。
16歳の女の子が深夜までカフェバーで働いていました。
もちろん年を偽ってです。
実年齢を私に打ち明けてくれたので、理由を聞きました。
【兄弟が多いから】
そして、将来の夢を聞きました。
【いっぱい勉強して頑張って警察官になりたい。そして世界中を飛び回りたい】
おかしいと思いませんか?
私はフィリピンの警察には詳しくありませんが、
恐らく、警察官になったところで、世界中は飛び回れないのではないでしょうか?
ここが、フィリピンの教育レベルだなと思います。
【勉強以外の。もっと大切な教育】
一度、、
日本の女子高生で考えてみてください。
高校2年生の日本人女子が、年齢を偽って深夜バーで働き、おっさんから腰や肩を触られても、笑顔でやりこなし働く。
それは家族の生活費の為に。
そして、日本人女子高生の夢は【警察官になって世界中を飛び回る。】
違和感を感じますよね?
これが、日本人の若者に与えられてる選択肢の幅の広さだと思います。
つまり、比較をして考えてしまうと、
フィリピンの裕福ではない若者に与えられた選択肢の狭さがこの一例だとも言えますね。
私は「これじゃいかんのよ!!」と強く思ってます。
家族の為に、こんなに頑張れるパワーある若者が、
もっと自分の人生に仕事にワクワクしなくちゃ!
自分の将来のキャリア構築をもっと現実的に考えなくちゃ!
次のステップは「こうなりたい!」という夢をもっていいんだよ!
その希望は、きっと生まれた国じゃない。
その希望は、きっと持っているお金じゃない。
その希望は、きっと育ちじゃない。
どんな人に出会うかだっていう事。
それなら、私が彼らが出会う人生の岐路になれるような場所をつくろう。
私は日本人だから、日本のビジネス感覚、自分の目標や成果への執着心や、
いまある選択肢から選ぶなんてことはしないという、どん欲に自分のキャリアを構築をしていく姿勢を伝えられるかもしれない。
そんな事をフィリピン人に伝えたい。
生まれた家柄なんて関係なくて、いくらでも人生は自分の手で開拓する事ができるんだよ。
そんなフィールドを作りたいから、今まだフィリピンにいるんです。
※写真の女の子。
私の住んでいるコンドミニアムの前の工事現場の一角にいた子です。
お父さんはトラックの荷台に積んだ野菜を売り、女の子は子犬と一緒にトラックの周りを遊んでいました。
彼女が、まっすぐ育ち、周りの大人から自分のアイデンティティをプライドを搾取されず、
自分の歩みたい人生を歩めますように。
LSJP Inc.
COO
関根侑希

投稿者:GLOBAL SOURCING